佐久市への移住検討で知っておきたいハザードマップに振り回されない、災害リスクの正しい判断方法

こんにちは!佐久市移住専門不動産「にじや不動産」です。
- 「佐久市に移住したいけど、ハザードマップを見たら不安になった…」
- 「川の近くは危険?でも良い物件があるから迷ってる」
- 「ハザードマップってどこまで信用していいの?」
佐久市で物件探しを始めると、必ずと言っていいほど直面するのが「ハザードマップ」の問題ですね。
実際に、移住相談でも「ハザードマップを見て不安になった」「対象エリアは全部避けた方がいいですか?」という質問をよくいただきます。
でも、ちょっと待ってください。
ハザードマップを見て「ここは危険だから候補から外そう」としていませんか?
今日は、佐久市に実際に住んでいる私たちが、ハザードマップと上手に付き合い、災害リスクを正しく判断する方法をお話しします。
この記事を読めば、ハザードマップに振り回されることなく、冷静に安全性を判断できるようになりますよ。
ハザードマップとは?まず基本を理解しよう
まず、ハザードマップが何なのかを正しく理解しましょう。
ハザードマップの基本知識
ハザードマップとは
- 災害が発生した際の被害予想を地図で示したもの
- 国や自治体が作成し、避難の目安として提供
- 「最悪の場合」を想定したシミュレーション
佐久市のハザードマップの種類
佐久市では、
- 洪水災害:千曲川や湯川などの河川氾濫リスク
- 土砂災害:土砂崩れや地滑りのリスク
- 浅間山の噴火に伴う火山現象:浅間山噴火による降灰や火砕流のリスク
の3つの観点から「佐久市防災マップ」としてまとめられています。
佐久市は広大なので、浅間・野沢・中込・東・臼田・浅科・望月のエリアごと分け、みやすい地区ごとのマップもあります
https://www.city.saku.nagano.jp/kurashi/iza/bosai_bohan/sakusibousaimap/bosaimap.html
重要なポイント:ハザードマップは「絶対」ではない
ここが最も大切な点です。
ハザードマップは「想定」であり「確定」ではありません
- 1000年に1度レベルの大雨を想定
- 地形や河川改修の状況を基にシミュレーション
- 実際の災害は想定と異なることもある
つまり、ハザードマップに色が付いているからといって、「必ず被害が出る」わけではないんです。
私たちの自宅もハザードマップ(噴火)のエリアにかかっています。
佐久市特有のリスク:浅間山噴火について
佐久市への移住を検討する際、水害以外にも気になるのが浅間山の噴火リスクですね。
浅間山と佐久市の位置関係
基本情報
- 浅間山は佐久市の北側に位置する活火山
- 佐久市街地からは約15-20km離れている
- 現在も気象庁が常時観測している活火山
浅間山噴火の影響と実際
過去の噴火実績
- 2019年8月:小規模な噴火が発生
- 2015年6月:ごく小規模な噴火
- 2009年2月:中規模な噴火
警戒レベルが3に引き上げられた出来事。
25年7月現在ではレベル2。
レベル | 名称 | 主な対応 | 説明 |
---|---|---|---|
1 | 活火山であることに留意 | 通常の登山や居住は可能 | 火山活動は静穏。登山なども可能だが、火山であることを意識する必要がある。 |
2 | 火口周辺規制 | 火口付近への立ち入り禁止 | 火口周辺で小規模噴火の可能性あり。登山道一部閉鎖されることも。 |
3 | 入山規制 | 山への立ち入り制限 | 噴火の可能性があり、火口から数kmの範囲で立ち入り規制。住民は警戒を強める。 |
4 | 高齢者等避難 | 避難準備、一部避難開始 | 噴火の危険性が高く、高齢者や要支援者の避難が推奨される。 |
5 | 避難 | 指定区域の避難が必要 | 噴火が発生、または切迫。人的被害を防ぐため直ちに避難が必要。 |
当時の被害状況
火山灰や細粒の火山噴出物が北北東方向を中心に広がり、火口から4 km以上にわたり主に浅間山の北~北東方向へ火山灰が到達。
浅間山火口から4km圏内の主な住所(目安)
地域名 | 市町村 | 備考 |
---|---|---|
長野原町 北軽井沢 | 群馬県吾妻郡長野原町 | 火口から北東方向に約3.5〜4km。浅間牧場や別荘地あり。 |
嬬恋村 干俣・大前地区 | 群馬県吾妻郡嬬恋村 | 東・南東方向、登山道や草すべりに近い。 |
軽井沢町 峠町(旧軽井沢方面) | 長野県北佐久郡軽井沢町 | 南東方向。国道146号線付近。 |
嬬恋村 鬼押出し園周辺 | 群馬県吾妻郡嬬恋村 | 北西方向3.5〜4km、観光施設あり。 |
防災マップの見方
佐久市では「防災マップ」を公開しています。
マップで確認できること
- 降灰の想定範囲:風向きによる影響エリア
- 融雪型火災泥流の予測範囲:泥流が到達する範囲
- 避難対象エリア:大規模噴火時の避難が必要な地域
- 避難所の位置:緊急時の避難先
火山噴火によって積雪が急激にとけて、大量の水と火山噴出物が混ざり合い高速で斜面を流れ下る現象
佐久市の安全性
- 浅間・東・野沢・中込あたりは空振(空気の振動による被害)や火山灰がふるおそれのあるエリア
- 浅間地区には融雪型火災泥流により、木造家屋の半壊・全壊が想定される範囲がある
火山リスクとの付き合い方
日常的な備え
- 火山情報の確認:気象庁の噴火警戒レベルをチェック
- マスクの準備:降灰時の外出用
- 洗車用品:車への降灰対策
実際のリスクレベル
- 生命への危険:佐久市全域でみると低い
- 財産への影響:融雪型火災泥流の対象となるエリアがある
- 日常生活:ほぼ支障なし
佐久市の実際の災害状況は?
浅間山の噴火リスクを理解したところで、佐久市全体の災害状況を見てみましょう。
佐久市の地形的特徴
佐久市が比較的災害に強い理由
- 盆地地形:周りを山に囲まれ、台風の影響を受けにくい
- 標高が高い:700m前後で、大雨でも水が溜まりにくい
- 河川の勾配:千曲川は勾配があり、水が流れやすい
- 降水量が少ない:年間降水量が全国平均より少ない
過去の災害実績
近年の主な災害
- 令和元年東日本台風(2019年):千曲川の一部で氾濫
- 平成18年豪雨(2006年):局地的な浸水被害
- 浅間山噴火(2019年):佐久市への影響は観測記録なし
被害の実際
- 千曲川沿いの一部エリアで浸水
- 人的被害は限定的
- 多くのエリアは被害なし
私たちが移住してから5年間、幸い大きな災害は経験していません。でも、だからといって油断は禁物。正しく理解して備えることが大切です。
ハザードマップに振り回される人の典型パターン
移住相談でよく見かける「ハザードマップに振り回されてしまう」パターンをご紹介します。
パターン1:色が付いているエリアを全部除外
例 「ハザードマップで少しでも色が付いているところは全部危険だと思って、該当エリアを全て除外しました。でも、残ったエリアには希望に合う物件が全然なくて…」
問題点
- ハザードマップの色の濃淡を無視
- エリア内でも高低差があることを見落とし
- 実際のリスクレベルを判断していない
パターン2:ネットの情報だけで判断
例 「ネットで『佐久市 水害』と検索したら怖い記事がたくさん出てきて、移住をやめようかと思いました」
問題点
- 煽るような情報だけを見てしまう
- 地域全体と局地的な被害を混同
- 実際の地形や対策を確認していない
パターン3:完璧に安全な場所を求める
例 「絶対に安全な場所でないと不安で…。でも、そんな場所は佐久市にはないみたいで、移住を諦めることに」
問題点
- 100%安全な場所は存在しないことを理解していない
- リスクと利便性のバランスを考えていない
- 自分たちの軸と照らし合わせて判断していない
災害リスクを正しく判断する3つの視点
では、どうやって災害リスクを正しく判断すればいいのでしょうか?私たちがおすすめする3つの視点をご紹介します。
視点1:地形と標高を確認する
ハザードマップだけでなく、実際の地形を確認することが重要です。
チェックポイント
- 標高の確認:国土地理院の地図で標高をチェック
- 高低差の把握:同じエリア内でも高低差がある
- 河川との距離と高さ:川からの距離だけでなく、高さの違いも重要
視点2:建物の構造と設備を評価する
同じエリアでも、建物によってリスクは大きく変わります。
建物の災害対策をチェック
- 基礎の高さ:地面からの高さはどのくらい?
- 築年数と耐震性:新しい耐震基準に適合している?
- 周辺の排水設備:雨水の排水はしっかりしている?
設備面でのチェックポイント
- 電気設備の位置:1階にあると浸水リスクが高い
- 給湯器やエアコン室外機:高い位置に設置されている?
- 車庫の位置:地下や低い位置にない?
実例:我が家の場合 私たちの家は築25年ですが
- 地面から基礎が高く設計されている
- 周辺の排水がしっかりしている
- 周りの道路よりも高い位置にある
災害への備えはしっかりしていると判断しました。
視点3:地域の歴史と対策を知る
過去の災害履歴と現在の対策を確認することで、より正確なリスク判断ができます。
確認すべき情報
- 過去の災害実績:どのような被害があったか?
- 河川改修の状況:治水対策は進んでいるか?
- 火山活動の状況:浅間山の噴火警戒レベルは?
- 避難所の位置:近くに避難できる場所はあるか?
- 地域の防災体制:区の取り組みはどうか?
情報の入手方法
- 佐久市役所の防災担当に直接聞く
- 地元の不動産会社に相談する
- 区長の方から対策を聞く
- 自治体の防災計画を確認する
- 気象庁の火山情報で浅間山の状況をチェック
佐久市の治水・防災対策例
- 千曲川の河川改修が継続的に実施
- 調整池の整備で雨水の流出抑制
- 防災無線の整備で早期の避難情報提供
- 浅間山火山防災協議会による火山防災体制
エリア別の災害リスク実際のところ
佐久市の4つのエリア別に、災害リスクの実際をお話しします。
佐久平・岩村田エリア
ハザードマップ上のリスク
- 千曲川沿いの一部が洪水想定区域
- 佐久平駅周辺にも融雪型火災泥流が想定
実際のリスク評価
- メリット:駅周辺の水害リスクは低い
- 注意点:千曲川に近いエリアは要確認、浅間山噴火時の融雪型火災泥流の可能性
- 対策:物件選びで標高を重視
中込・野沢エリア
ハザードマップ上のリスク
- 千曲川沿いの一部が浸水想定区域
- 土砂災害警戒区域も一部に存在
実際のリスク評価
- メリット:市街地の中心部でインフラが充実
- 注意点:川沿いと山際は個別に確認が必要
- 対策:地形を確認して物件選びをすれば安心
臼田エリア
ハザードマップ上のリスク
- 千曲川沿いの低地部に浸水想定区域(主に川の東側)
- 山際には土砂災害警戒区域
実際のリスク評価
- メリット:広いエリアで選択肢が多い
- 注意点:川沿いの低地は対象エリアだが、浸水0.5m未満指定が多い
- 対策:高台の住宅地を選べばリスクは低い
望月エリア
ハザードマップ上のリスク
- 布施川沿いに決壊危険区域
- 山間部に土砂災害警戒区域
実際のリスク評価
- メリット:自然が豊かで広い敷地の物件が多い
- 注意点:山間部では土砂災害のリスクを確認
- 対策:地形と過去の実績を確認して判断
私たちのハザードマップとの向き合い方
実際に私たちがどうやってハザードマップと向き合ったかをお話しします。
移住前の状況
最初の反応 ハザードマップを見たとき、正直「大丈夫かな?」と不安になりました。
浅間・中込・野沢などの人口密集エリアほとんどに火山現象のエリアがかかっています。
調べたこと
- 国土地理院地図で標高を確認
- 佐久市役所に直接電話で相談
- 地元の不動産会社に過去の実績を確認
- 実際に現地を見学して地形を確認
判断のプロセス
分かったこと
- 我が家の候補地は川より10m以上高く、建物がある分譲地が高く作られている
- 過去50年間で大きな被害の記録なし
- 近所の方も「水害の心配はしたことがない」
- 万一の時の避難所も近くにある
- 火山現象エリアといっても、融雪型火災泥流の対象エリアは限定的
決断の理由
- 軸との照合:小学校への通学を最優先したい
- リスクレベル:調査の結果、許容できるレベル
- 対策の確認:万一の場合の避難計画も立てられる
住んでみての実感
5年住んでの感想
- 大雨の日も全く問題なし
- むしろ、地形的に水が溜まりにくい
学んだこと
- ハザードマップだけでは分からないことが多い
- 実際の地形と歴史を調べることが重要
- 地元の人の実体験が一番参考になる
ハザードマップを活用した物件選びの進め方
具体的にどうやってハザードマップを活用すればいいかをお教えします。
ステップ1:大まかなエリア選定
- 佐久市のハザードマップを確認
- 明らかに高リスクなエリアを把握
- 候補エリアを3-4箇所に絞る
ステップ2:詳細調査
各候補エリアについて:
- 標高と地形の確認
- 過去の災害実績の調査
- 現在の治水対策状況の確認
ステップ3:現地確認
- 実際に現地を歩いて地形を確認
- 近所の方に話を聞く
- 雨の日の状況も可能なら確認
ステップ4:総合判断
- 自分たちの軸と照らし合わせる
- リスクと利便性のバランスを考える
- 対策を立てた上で判断する
万が一に備える防災対策
リスクを理解した上で、万が一に備える対策も大切です。
家庭でできる防災対策
情報収集体制
- 佐久市の防災アプリをインストール
- 気象情報をこまめにチェック
- 浅間山の噴火警戒レベルを確認
- 近所の方との連絡体制を作る
避難準備
- 避難所の場所と経路を確認
- 非常用持ち出し袋の準備
- 家族の連絡方法を決める
住宅の対策
- 排水溝の清掃を定期的に
- 重要書類は高い場所に保管
- 電気設備の位置を確認
- 降灰時の対策用品(マスク、洗車用品など)を準備
地域との連携
自治会への参加は大切です。顔見知り程度でもお互いに支え合うことができます。
- 地域の防災訓練に参加
- 近所の方との関係作り
- 地域の防災情報を共有
よくある質問と回答
Q1:ハザードマップで色が付いている場所は住まない方がいい?
A1:色の濃さとリスクレベルを確認して判断しましょう
- 薄い色の場合、リスクは相対的に低い
- 実際の標高や地形も合わせて判断
- 建物の構造で対策可能な場合も多い
Q2:子どもがいるので絶対に安全な場所に住みたい
A2:100%安全な場所は存在しないので、適切なリスク管理を
- リスクを理解した上で対策を立てる
- 避難計画を家族で共有する
- 地域の防災体制を確認する
Q3:浅間山の噴火は心配しなくていい?
A4:佐久市では日常生活に支障のないレベルです
- 主な影響は降灰程度で、生命に危険があるエリアは限定的
- 気象庁の噴火警戒レベルを確認し、基本的な備えをしておけば十分
Q4:保険でカバーできるなら多少のリスクは大丈夫?
A3:保険は補完的に考え、基本的なリスク回避を優先
- 火災保険の水災・噴火による損害(地震保険)補償を確認
- でも保険より安全な場所選びが基本
- 命は保険では守れないことを忘れずに
なお、噴火が原因で車が全損した場合、通常の自動車保険では適用されません。
「車両全損時一時金」特約が必要になります。
東京海上日動火災保険やアクサ損害保険、損保ジャパンなどでの取扱があります。
「全損」なのでリスクはかなり限定的。
どうしても保険で安心したい!という人は加入しても良いかもしれません。
まとめ:ハザードマップと上手に付き合うために
ハザードマップと上手に付き合うためのポイントをまとめます。
大切な心構え
- ハザードマップは「参考情報」として活用
- 複数の視点で総合的に判断
- 完璧な安全を求めすぎない
正しい判断のための3つの視点
- 地形と標高を確認:実際の高低差を把握
- 建物の構造と設備を評価:物件個別のリスク確認
- 地域の歴史と対策を知る:過去の実績と現在の対策
行動のポイント
- 机上の調査だけでなく現地確認を
- 地元の人の実体験を重視
- 自分たちの軸と照らし合わせて判断
佐久市は全国的に見ても比較的災害リスクの低い地域です。正しい知識と適切な判断で、安心して移住生活を送ることができますよ。
(保険内容監修:ファイナンシャルプランナー 桑原大輔)
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