佐久市家族移住のデメリット「体験格差」と対策
「佐久市へ移住を考えているけど、デメリットも知っておきたい」
移住は楽しいこと・良いことばかりではありません。
私自身も東京から佐久市へ移住し、メリット・デメリット両方を感じています。
佐久市は「住みたい田舎ベストランキング2024」で全国3位に輝いた、とても魅力的な移住先です。
年間の移住者数は、長野県内でもトップクラス。
でも、とくに小さなお子さんがいるファミリー世帯にとっては、事前に知っておかないと「こんなはずじゃなかった」となりかねない【移住のデメリット】もあります。
その中でも今回は、あまり他では語られていない移住のデメリット「体験格差」をご紹介します。
佐久市へ移住のデメリット「都市部との体験格差」
私自身、佐久市へ移住して実感するデメリットは、
都市部よりも「体験の機会が少ない」
ということです。
具体的にいうと、
- 習い事の選択肢
- 文化的体験施設の数
- 親の送迎負担
この3つ。
① 習い事の選択肢が都市部より少ない
佐久市にも習い事の教室はあります。
スポーツでいうと、サッカー・バスケ・剣道・空手・水泳など
学習系なら、英語教室・学習塾・公文式など
文化系なら、ピアノ・ギター・バレエ・ダンスなど
ただ、「やりたいと思ったらすぐ見つかる」という密度ではないというのが正直なところです。
たとえば、東京や大阪なら
- バレエ教室が徒歩圏に3〜4校あって、先生の方針や雰囲気で選べる
- 幼児向けの水泳教室が毎週末どこかで体験会を開いている
- プログラミング教室が複数あって比較検討できる
というような状況ですが、佐久市では「そのジャンルの教室がそもそも1〜2校しかない」ことがよくあります。
合わなかったら終わり、という選択肢のなさは、都市部からの移住者にとって意外と大きなストレスになります。
② 文化的な体験施設へのアクセス
水族館、動物園、大きな科学館、博物館、映画館などなど。
お子さんを持つ親御さんなら、週末にふと「どこか連れていこうか」と思いますよね。
佐久市には佐久市子ども未来館(博物館・科学館)などの施設もありますが、規模や種類という点では都市部にはかないません。
「毎週末行くわけじゃないけれど、気軽にふらっと行ける感じでもない」
というのが、実感です。
③ 親の送迎負担が都市部より重い
佐久市の公共交通はJR小海線が主なのですが、日中は1時間に1本程度のダイヤ。
習い事の送り迎えは基本的に車が前提になります。
共働きの家庭では、送迎のスケジュール調整が思った以上に大変になることがあります。
「夕方、お迎えと習い事の送迎が重なる」というのは、佐久市での子育てあるあるです。
そもそも「体験」って?
「体験」といっても、いろいろありますよね。
文部科学省では「体験による成長への影響」を調査するため、以下のように定義しています。
- 自然体験(キャンプ、登山、川遊び、ウィンタースポーツなど)
- 社会体験(農業体験、職業体験、ボランティア)
- 文化的体験(動植物園、博物館・美術館見学、音楽・演劇鑑賞、スポーツ観戦など)
文部科学省 体験活動推進 https://www.mext.go.jp/a_menu/sports/ikusei/mext_00935.html
「体験」は子どもにとって、何の役に立つの?
小学生の頃に体験活動を多くしていた子どもは、その後、高校生のときに以下の項目において、高くなる傾向が見られています。
- 自尊感情(自分の対して肯定的、自分に満足しているなど)
- 外向性(自分のことを活発だと思う)
- 精神的な回復力(新しいことに興味を持つ、将来に対して前向きなど)
つまり、体験は「自分に自信を持つこと」への良い影響がある。と言えます。
言い換えれば、体験はその後の成長に良い影響がある。ということですね。
「体験格差」ってどんなこと?
「体験格差」をかんたんに言うと、住んでいる場所や家庭の環境によって、子どもが経験できることに差が生まれることです。
習い事、文化施設、スポーツ教室、アミューズメント施設……こういったものへのアクセスのしやすさが、都市部と地方では異なります。
選択肢で言えば、どうしても都市部のほうが多くなりますよね。
調査によると、スポーツ系の習い事やクラブ活動への参加率は都市部で48.8%、地方で41.8%と、地方のほうがやや低い傾向があることもわかっています。
体験格差 今井悠介著
「数字の差は小さいんじゃないか」と思った方、鋭いです。
参加率の差よりも、お金をかけたくても選択肢自体が近くにないという状況が地方の現実で、それが体験格差の本質です。
じゃあ、佐久市は体験においてマイナスしかない?
ここまで読んでいただいて、「じゃあ佐久市ってダメなの?」と思った方もいるかもしれません。
でも、それはちょっと待ってほしいです。
体験格差には、表と裏の両面があります。
都市部の子どもが「体験できるもの」の量は多い。でも、佐久市の子どもが「体験できるもの」の質は、別の軸で語られるべきものがあります。
たとえば——
自然の中での体験は、佐久市が圧倒的に豊かです。
- 田んぼのあぜ道を自転車で走れる
- 浅間山や八ヶ岳を眺めながら散歩できる
- 夏に本物の蛍を見られる場所が近所にある
- 農業体験が生活の中に自然に組み込まれている
都市部の子どもが「特別な体験」としてお金を払って参加するような自然体験が、佐久市では日常の中にあります。
「体験格差」の研究でも、都市部のほうが自然体験は少ない傾向があることが示されています。
習い事の数や文化施設へのアクセスという軸では地方が劣るように見えても、自然・農・地域コミュニティとのつながりという軸では都市部が少ないですよね。
つまり、どちらが「豊かな体験」かは、あなたがどんな子ども時代を子どもに贈りたいかによって変わる。ということです。
「体験格差」と向き合うための、3つの考え
1. 6歳以下の今、何を優先するか考える
お子さんが今6歳以下なら、正直なところ「習い事の選択肢の少なさ」が直撃するのはもう少し先の話です。
幼少期に一番必要なのは、安全に遊べる場所、大人との愛着関係、そして感覚を刺激する豊かな環境です。その意味で、佐久市の自然環境は6歳以下の子どもの発達に非常に適しています。
「10年後に子どもが選択肢の少なさに不満を感じるかもしれない」という不安を今から過大に抱える必要はありません。ただし、小学校高学年・中学生になったときの選択肢については、早めに調べておくと安心です。
2. 車で1時間の圏内を「生活圏」と考える
移住後に「体験格差」を感じにくくするコツは、佐久市単体で完結しようとしないことです。
長野市(車で約1時間)・松本市(車で約1時間20分)・軽井沢(車で約30分)・東京(新幹線で約1時間10分)という位置関係を活かして、月に1〜2回は広域で体験の機会を作る、というスタンスが現実的です。
3. 「佐久でしかできない体験」を軸にする
佐久市への移住を後悔しにくいのは、「ここでしかできないこと」に価値を見出しているご家庭です。
- 農家の知り合いができて、旬の野菜を一緒に収穫できる
- 地元のお祭りや消防団の行事に子どもが自然に混ざれる
- 親が仕事を終えてから子どもと星空を見る余裕がある
これらは、習い事の数では測れない体験の豊かさです。
まとめ:「体験格差」は存在する。でも、何を体験させたいかは親が決めていい
佐久市への移住には、体験格差という観点でのデメリットがあります。習い事の選択肢の少なさ、文化施設へのアクセス、送迎の負担——これらは正直に伝えるべきことです。
でも同時に、都市部では手に入らない体験の豊かさも佐久市にはあります。
「体験格差」をデメリットとして恐れるより、「自分の子どもにどんな子ども時代を作りたいか」という問いに向き合うことのほうが、移住判断においてはずっと大切だと思っています。
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